教育協力 1960年代から現在までの教育協力の潮流の変化を分かりやすくまとめてあり、教育分野の国際協力入門書として必読の一冊。 特に1990年のタイのジョムティエン会議以降の「万人のための教育(Education For All)」という潮流に関しては、世界銀行やUNICEF、UNESCOなどのそれぞれの世界機関の戦略とその背景を詳しく説明してある。
世界の教育開発に興味のある人のための入門書 世界の教育については、何十年も前から重要な政策課題であると各国 で認識されてきたにもかかわらず、いまだに世界の1億3千万人の就学 年齢の子供が学校に行っておらず、また多くの学校に行っている子供 も十分な教育を受けられていない状態が続いているそうです(ユニセ フ世界子供白書)。 この本は、国際教育開発、途上国の教育改善などに興味を 持つ人への入門書として有用だと思います。 教育開発に取り組む 世界銀行、ユニセフ、ユネスコなどの国際機関をはじめ、早くから 援助国の教育開発に携わってきたアメリカの「教育」に対する考え方、 国際開発舞台での教育トレンドの変遷、各地域の教育への取り組み などが紹介されています。 国家経済開発の担い手としての「エリートを!育てる教育開発政策」 から、「人間開発、人権としての基礎教育の普及」へ、あるいは アクセス重視の教育の「量の拡大」から、ニーズにあった教育、 ドロップアウトと減らす等の「質の向上」へ… と、 歴史やその当時の状況、政策、価値観などで変わっていく国際機関 などの教育開発政策などは大変興味深く、またアフリカ、アジア、 中南米などの地域ごとの教育開発の度合い、違い、取り組みなども 読んでいて学ぶことが多かったです。 少し物足りなかったところは、国際舞台での大きな動きはとても よく説明されているのですが、各地域でどのような教育開発プロジェ クトが行われていて、どのような成果があったかなどという情報が もう少し具体的に書いてあったらもっと良かったのにな、と!感じた ところでしょうか。 あと、何人かの著者が世界銀行について書いて いるため、少し繰り返しの記述があるように感じたところもありま した。 ですが、この本は今まであまり一冊の本として紹介されてこなかった 国際教育開発を紹介する本としてはとても有用です。 ユニセフなど の子供への支援など途上国の教育に興味のある人にはぜひお勧めです。
|